新曲「さくら」を解説!アレンジを通じて情景を作り出す。
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ブラザーです。
連日ニュースで話題となっている新型コロナウイルスにより、日本では在宅勤務や満員電車を避けるための時差出勤など、企業としての取り組みが行われていますね。そんな私も、今は在宅勤務を行なっています。
今日の記事は、アレンジをした「さくら」について書きたいと思います。
アレンジの前に
ー「さくら」はどのような曲なのかー
2003年、森山直太朗さんの2枚目のシングル曲としてリリース。「さくら」のブレイクにより、初回プレス1,200枚が最終的に120万枚のヒット曲となりました。昨年、ドラマ「同期のサクラ」のドラマ主題歌として復活。「さくら二◯十九」として、再び世の中に生まれました。
ー選曲にあたり悩んだことはー
単純に曲がいいですよね。どこか懐かしさがありますし、メンバーにとっても世代があてはまる曲で且つ認知度の高さもあります。ただ、不思議に感じていたのは意外とこの曲をアカペラでやっているバンドをみたことがないということです。YOUTUBEには、いくつかカバーしているバンドはありましたが、それでも曲の認知度に対しては少ないと実感をしました。
ー少ない理由は何かー
考えられることが正しいのかはわかりません。あくまで個人的な考えとしては2つあります。
①合唱曲という印象が強い
②季節感が強い
特に②が強いのかなぁ。「さくら」といえば確かに季節は春ですし、曲自体が卒業式などで歌われることが多いので、どうしても2〜4月くらいに歌いたい曲ではありますよね。選曲にあたり、懸念になる気持ちもわからなくはないです。”季節”や”流行”が選曲の要になることは多いです。私が組んでいるバンドでもあります。
昨年は、Official髭男dismの"Pretender"が大ヒットしましたね。この曲のカバーを昨年は沢山聞きました。その前に印象的だったのは、映画「君の名は」の”前前前世(RADWIMPS)”をカバーするバンドがたくさんありました。ただ、一時の流行が過ぎると、「古いなー」と思われるんじゃないかという気持ちになってしまうのか、あまりカバーをするバンドが見られなくなりました。
季節に関してもそうです。確かに、夏のイベントに冬の曲を歌うのは、何か歌いにくさがあるという気持ちはわかります。だからこそ、季節感が強い「さくら」は選曲として果たして正しいのだろうかと悩みました。
ー選曲に至ったのは何故かー
上記でも紹介をした「さくら二◯十九」のPVを見ました。その映像には、最後の方にさくらの花びらが舞うシーンはあるものの、ほとんど季節を強調した映像作りはされておらず、どちらかといえば曲のメッセージ性を強く表現した内容となっていました。
PVを見ると最初のシーンでは、白い服を身につけた人々が森山直太朗の周辺を歩いていますよね。ここに登場する人々は、それぞれに感情があり性別・仕事が別々で”個々”が存在しているとのことです。
そして、最初のシーンは下を向いて歩く人や座る人が多いですが、光がさした瞬間に上を向く人が増えていきます。ここに僕は人の感情に置ける「暗と明」を「闇と光」で表現したと感じました。
上から降り注ぐのは、光と花びら(さくら)ですね。”桜の花が舞い落ちる”と捉えがちですが、「落ちる」という表現よりも「降り注ぐ」という表現で、前向きなイメージのように感じました。
ここから、別に”春”や”卒業”というフレーズに限定せず、それぞれの”人生”や”時”をテーマにしている曲なのではないか・・・と感じはじめ、そこからこの曲に対し強く関心が湧きました。
考えてみれば、あいみょんのマリーゴールドも歌詞に「麦わら帽子」というフレーズが出るので夏かなぁと思いますが、曲のメッセージ性を込めたPVに夏らしさはあまりありませんでしたね。
ーアレンジで悩んだことはー
今回一番悩んだのは構想でした。特に2番を歌うかについては2週間くらい悩んだんじゃないですかね。時々、さくらを選曲したことを後悔したこともありましたよ笑。ぶっちゃけ「飽きるんじゃないか」と思ったんです。そんな時に、2番の歌詞をメロ関係なく朗読したんですよね。
今なら言えるだろうか、偽りのない言葉。
輝ける君の未来を、願う本当の言葉。
移りゆく街はまるで、僕らを急かすように
SNSとかが普及して、なかなか対面で感情をぶつけることが少なくなってきました。正直な気持ちを素直に言えればいいんですが、なかなか言えないままいつの間にか時間が過ぎていたりとか・・・・この歌詞を見ていると、もっと勇気を出して色々と言えればよかったなぁなんて思ったんですよね。そう考えると、すごく重要な歌詞だなと思い、これは2番も歌うしかないと思いました。
ー曲の展開とメッセージー
いつものように、アレンジノートは作りました。ただ、今回は1番ができた段階で、窓の満月のみんなに意見を求めました。特に印象的だったのは、「さくらは季節に問わず咲く」「1本のさくらもあれば、桜並木のように咲く光景もある」「さくらを見て、美しい果たして思うのか」様々な視点をもとに、再度構想を練り直し、全体をまとめました。
「仲間の愛」をテーマにした選曲にしたかったということもあり、この曲から伝わる「見守る」「応援する」「進む」というキーワードを展開ごとに強調したかったのはあります。あとは、「さくらは咲きたいときに咲くんだよ」というメッセージですかね。春に咲くって決めたのは、結局人間なんですよね。そもそも1年間を数字で表したり、季節で区切ったのも人間なんですから。でも、さくらにとっては関係ないんですよね。咲きたい時に咲くんですよ。人も、周りから何を言われても自分が進みたい時に進めばいいし、信じる仲間がきっと後押しをしてくれるって思うんですけどね。それがアカペラでカバーするに当たって一番伝えたかったことかなと思います。
アレンジ
ー場面展開と転調ー
曲をフルで作ると決めてから、どうストーリー性を持たせるアレンジを作るかが課題でした。そこで用いたのが”転調”です。最初の入りに関しては、原曲キーで男性ボーカルでもよかったんですが、ここはあえて女性ボーカルにしました。「僕らは」という歌詞に対して、女性が歌うのってなんかエモいなって思ったんです笑。同時に、1番は”母性”をテーマにしていたので、どこか寂しさを抱えながらも優しく包んでくれるような雰囲気を出すために、あえて女性を選びました。
ー1番はあえて伸びをつけないサビにー
あまり1番でがっつりサビを伸ばすと、なんかこれまでの雰囲気が台無しだなと感じました。なので、あえてぶつ切りにするような歌い方(ロボットのような、無機質なような)にし、さくらが静かに舞う雰囲気を表現しました。そうすることで、より2番にかけての間奏の壮大さとのギャップを作ることができました。間奏に関しては、アジアンテイストな感じのメロを加え、原曲と織り交ぜながら表現しました。
ーsus4の利用とテンションコードとメジャーのギャップー
さくらのコードは非常に単純なもので形成されています。バックに楽器などがあればいいんですが、声だけだと繋がりをつけるのが難しかったので、曲の繋ぎに関してはsus4の和音をあえていれながら次に続く表現にしました。また「移りゆく街はまるで」の部分に関しては、電車で街の中を通る中で、様々な都会の雑音を感じながら時の流れを表現できるよう、11th→メジャー→9th→7th(四声和音)としました。
ー大サビに向けてー
落ちサビからどのように大サビに持っていくか・・・単純にすぐ転調で入ってもよかったのですが、ここに関しては重要なフレーズを連続させることで盛り上がりを作りたいなと思いました。「ともよ」が重なって全員で字はもになる箇所に関しては、尊敬するEuphonicsさんの「春よ来い」のアレンジを参考にしました。
ー後奏のオリジナルメロディーー
窓の満月のアレンジは、ほぼ全ての曲の後奏をオリジナルメロディーで作成しています。なぜそのようにしているかというと、曲の総まとめをここで作り上げるためです。そうすることで、この曲は一つに繋がっているというメッセージ性を持たせています。今回に関しては、「君が歩む長い旅路は遥か遠いけど、光に満ち溢れている未来だから、前を向いて歩いてほしい。泣かないで、きっとまたここで会えるから、また会おうさくらの舞うこのみちの上で」という、仲間をずっと応援しているというメッセージ性を込めて、原曲の歌詞と織り交ぜながら作りました。
最後の「舞え、さくら」というのは、このアレンジを行う当初からいれたかった表現なんですよね。舞ったさくらが、春風に乗せて後押しをしてくれる雰囲気っていいじゃないですか。そして応援する仲間も、「お願いだから・・今だけでいいから、さくらよ、舞ってくれ・・・」という強い願いを込めながら、去りゆく友を後押しするというシーンが、ラストに浮かんだんですよね。
アレンジに関しては、解説動画を今回作りましたので是非ご覧ください
窓の満月からのメッセージ
今回、さくらの演奏を卒業生に対してYOUTUBEを通じて公開しました。上記のようなメッセージを込めて、演奏していますので是非ご覧ください。
それではまた!