【現代社会】全人代って何?トゥキュディデスの罠②
スポンサードリンク
ブラザーです。
長くなってしまったので、その②でございます。前回のお話をまとめます。
- 国家主席と総書記を知らないと混乱する
- 中国の歴史を振り返ると、6人がキーマン
- 毛沢東は「大躍進政策」「文化大革命」を行った
- 鄧小平の「改革解放」によって、繁栄したが格差が生まれた
- 共産党が、一党独裁で中国を支えてきた
という点ですね。下記にリンクを貼っておきます。
アメリカと中国の関係性を知らなければいけない
宣戦布告のペンス演説、新米中戦争の幕開け
人物像から振り返ってみましょう
2018年、アメリカのマイク・ペンス副大統領が衝撃的な演説を行いました。その演説は、「ペンス演説」として歴史に残ります。そもそもトランプ大統領は聞くけど、マイク・ペンス副大統領ってどんな人?っ思いますが、人物像については一旦置いておきます。
では、どんな演説を行ったのか!
ソ連崩壊後、我々は中国の自由化が避けれないと想定した。楽観主義を持って中国に米国経済への自由なアクセスを与えることに合意し、世界貿易機関(WTO)に加盟させた。中国の自由が経済的だけでなく政治的にも拡大することを期待してきた。しかし、その希望は満たされなかった。
要するに、アメリカとしては中国が経済的に豊かになれば、やがて民主主義の国になるだろうと思って投資をしてきました。ロシアでさえ、豊かになると民主化されました。しかし、中国は世界第2位の経済大国になっても、未だに共産党の独裁政治になっています。つまり、アメリカは中国に裏切られた。「アメリカが中国を助ける時代は終わった」としています。さらに続きます。
現在、共産党は「中国製造2025」計画を通じて、ロボット工学、バイオテクノロジー、人工知能など世界の最先端産業の9割を支配することを目指してる。中国政府は21世紀の経済の圧倒的なシェアを占めるために、官僚や企業に対し米国の経済的指導力の礎である知的財産をあらゆる手段を用いて取得するように指示してきた。
中国政府は現在、多くの米国企業に中国で事業を行うための対価として企業秘密を提出することを要求している。中国の安保保障機関は米国の技術の大規模な窃盗の黒幕だ。中国共産党は盗んだ技術を使って民間技術を軍事技術に大規模転用している。
長い!!ただ、この後半にもまだまだ続いてます。書くのが疲れるので重要な部分について一旦抜粋します。上の文章から抜粋すると・・・
現在、共産党は「中国製造2025」計画を通じて、ロボット工学、バイオテクノロジー、人工知能など世界の最先端産業の9割を支配することを目指してる。中国政府は21世紀の経済の圧倒的なシェアを占めるために、官僚や企業に対し米国の経済的指導力の礎である知的財産をあらゆる手段を用いて取得するように指示してきた。
中国政府は現在、多くの米国企業に中国で事業を行うための対価として企業秘密を提出することを要求している。中国の安保保障機関は米国の技術の大規模な窃盗の黒幕だ。中国共産党は盗んだ技術を使って民間技術を軍事技術に大規模転用している。
軍事的利用に関しては、ペンス演説においてのパフォーマンスのように思いますが、ただ、赤字の部分がすごく重要になってきます。
「それにしても・・・激しい演説ですよね笑」
ただ、別に最初から中国とアメリカの仲が悪かった訳ではなく、1972年のリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問してから、経済的には「チャイメリカ」と言われるほ蜜月関係(ハネムーンの関係)と言われてきました。じゃぁ、なぜそんなにアメリカが中国に対して怒っているのでしょうか。
関税の問題と安全保障問題
「関税」という言葉自体難しいですよね。アメリカは中国から大量の輸入品が入ってきます。それによってアメリカの赤字が膨大なものになっています。アメリカ人の雇用も奪われているということです。
関税のイメージを上にまとめました。つまり、海外の価格で国内で販売しても、そこに格差があるので、国内のものが売れないということですね。なんとアメリカにとって、47%が中国との貿易の中で生まれた貿易赤字な訳です。
そりゃぁ怒るよねっていう話ですよね。
だからこそ、トランプ大統領は自身を「タリフマン(関税男)」と呼び、中国の製品に対して高い関税をかけ、「これで大丈夫だろう」と思っていました。しかし、それでは中国の製品がアメリカで売れなくなるので、中国も対抗してアメリカの製品に関税をかけました。このバッチバチの対決によって”関税戦争”が生まれました。
もう一つ、アメリカが怒っていることは「安全保障」の問題です。ニュースとかで「ファーウェイの製品を買ってはいけない!ファーウェイをアメリカで販売させるな!」というニュース聞いたことないですか。先ほどのペンス演説の中である、「知的財産をあらゆる手段を用いて取得するように」というのがここに繋がってきます。
バックドアと国家情報法
本当にそのようなことを行なっているかは不明です。ただ、アメリカは中国がアメリカの企業から機密情報を盗もうとしているのではと疑っています。バックドアとは、ウイルスが不正侵入をするために作る裏口・勝手口のことです。
また、2017年に中国は「国家情報法」を施行しました。
中国政府が、中国国民や企業に対して世界のどこにいても情報収集で中国政府に協力しなければならないという法律を作りました。=スパイ計画ということですね。
ここで注目されたのが「ファーウェイ疑惑」です。ファーウェイが、アメリカの情報を
クラウドを使って収集してるんじゃないかという疑惑を持った訳です。本当かは定かではありませんが・・・・
ファーウェイは、アメリカで言えばAppleに相当する企業です。アメリカの大企業「GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)」に対して、中国の大企業「BATH
(Baidu、Alibaba、Tencent、HUAWEI)」が比較できます。
アメリカはFive Eyesによって機密情報を監視しています。Five Eyesはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで機密情報を共有することです。この連盟に対して「ファーウェイの製品は使うなよー」と言いました。さらに日本に対しても言いましたが、ファーウェイの部品は日本が作ってるんです。菅官房長官は悩みました・・・。そこで
「日本の安全保障にとって危険があるような製品は使わないでほしい」
とファーウェイとは言わずに濁して伝えました。まぁ、日本にとっては習近平国家主席の来日も控えていたので、ここで関係が崩れるのはやばいし、アメリカから「おい!」って言われるのも嫌なので板挟みでの苦肉の伝え方ですよね。
さらに、アメリカはファーウェイのNO.2(No.1の娘)を逮捕しました。イランとの取引の際に、ドルを使用させない「ドル規制」を行なっていたが、No.2が裏でドルを使用して取引をしていたということで(疑惑)、逮捕したということです。ただ、アメリカに直接行くのは危険ということはNo.2も感じてました。そのため、カナダを経由してアメリカに行こうと思いましたが、カナダの空港で逮捕されました。これは、Five Eyesにカナダも入っているというところがポイントですね。
その他にも、中国の企業がたくさんお金を持っているので、アメリカの企業を買わせないように動く「CFIUS(対米外国投資委員会)・・・外国企業によるアメリカ企業買収停止」を行う訳です。
もう、アメリカは中国に対してとにかく攻めてますよね。でも、そこまで攻める理由はどこにあるのでしょう
ハイテク覇権争いと一帯一路の思惑
5Gで勝った国が世界を制する
5Gは第5世代移動通信システムのことで、”これまで重かった情報をいかに早く伝達できるか”という技術のことを言います。逮捕されたファーウェイのNo.2は「十年一剣を磨く。5Gの世界標準を獲得した」と四川省成都の講演で優位を誇りました。
4Gはアメリカの技術です。ここで中国に負けたなんて言ったら悔しいに決まってますよね。では、5Gで何ができるのでしょうか。この移動通信速度が早くなれば「大容量通信」と「低遅延」の2つがクリアできます。自動運転や遠隔での手術なども可能になり世界が大きく変わりますね。
ただ、現在この技術においてトップはファーウェイです。なぜなら4万人の従業員(技術者2万人)を抱えているので、最先端技術を次々と開発できますよね。ただ、アメリカとしてはNo.1を取りたいのに邪魔ですよね。では、5Gなどの最先端技術を使って何をしようとしているのか、ここに「一帯一路」という構想が関わってきます。
監視社会のはじまり「中国製造2025」
習近平国家主席はこちらを打ち出しました。これが中国製造2025です。
ファーウェイはもともと携帯電話のネットワークに必要な基地局などの通信機器を提供する会社でした。そこからスマホの販売台数で世界No.1のサムスン電子に次いで2位になりました(Appleは3位)です。
ファーウェイの技術を使えば、位置情報がわかります。さらにBATHの技術をかき集めれば、顔認証、位置認証、そしてAlibabaの「セミクレジット(芝麻信用)」を使うと、スマホ決済を行うことでスコアが上がるというシステムが使えます。中国政府は、このBATHの技術により監視社会を作る構想を立てているようです。セミクレジットを使えば、政府に対して反する人民や、違法行為を行った人のスコアを下げればいいのです。社会信用制度と呼ばれるもので、個人の信用をポイントで管理するようなものです。
この動画みたいな世界が考えられます。
【ドラマ】全国民をランク付け・・・「信用スコア社会」になるとどうなるのか?
これが、中国で可能と考えられている技術です。今、電車を使用するにもスマホ決済の方が価格が安くなっており、人々はスマホ決済社会または顔認証による支払いとなっています。日本で言えば、クレジットカードを作ったり、住宅ローンを組む時に信用を調べられますが、そのような形の進化版みたいなものですね。
そして、習近平が掲げる「一帯一路(いったいいちろ)構想」がついに頭角を現します。
一帯一路構想、地球上のNo.1を決める戦い
ニュースの動画が解説しています。
シルクロード。なんか中学の社会で習った気がしますね・・・全然覚えてないという方も多いでしょう。僕も忘れました笑 ただ、これがすごく重要なんです。
シルクロードは”絹の道”と訳せます。中央アジアを横断する古代の歴史的な東西交易路のことを「シルクロード」と呼びます。中国の技術だった絹を古代ローマ帝国へももたらされたので”シルクロード”と呼ばれました。文化がどんどん広がった道ですね。
「中国のデジタル技術をヨーロッパまでぶち抜いてやりますよ!!現代版シルクロードを作ってやりますよ!!どうですか、アメリカさん」
という感じですね。この一帯一路構想にはアメリカは入っていません。じゃぁ、日本はどうなのか、ここが今後気になってきますね。
全人代2020で何が語られるのか。
ハイテク覇権争いでバチバチしていたアメリカと中国。それをさらに過激化させたのは、皆さんも最近のニュースを見るとご存知の通り、新型コロナウイルスの問題ですよね。WHOと中国が結託しているのではないか・・・などと様々な噂はありますが、真相は今の所わかっていません。
今年の全人代は3月開催予定でしたが、新型コロナウイルスのこともあり5月22日に開催延期となりました。ここで話される内容は、予算に関する内容が主だと思いますが、まずコロナウイルスによって苦しめられた財政をどう回復するのかが話されるかもしれません。ただ、報道の見方では毎年公表している経済成長率の目標値は示さないのではないかという見方も出ています。
ちなみに、2018年の全人代では、国家主席の任期制限撤廃ということで、習近平国家主席が終身で国家主席の任期を担うことが法案可決されました。まさに、党を制圧し国の帝王として君臨する形となりそうです。
習近平国家主席は、毛沢東や鄧小平を超える最高指導者になると言われています。歴史を振り返ると、いかにすごい人物になるのかということがわかってきますね。
最後に
今回の内容をまとめましょう。
今回の目的は「全人代とは何か」「なぜ全人代に興味が湧かないのか」という内容でした。そこには、”中国の政治の仕組みと中国という国の歴史を知ることが大事”ということでした。
まず、国家主席と総書記という立ち位置が混乱させるよね、と書きました。国家主席は大統領に相当し、総書記は党の代表のことを示します。混乱の元は、共産党以外の党をニュースとかで聞かないからです。
毛沢東は建国の父とされ、日中戦争時にバックとなっていたソ連の社会主義国家(共産党主義)に憧れ、大躍進政策と文化大革命を起こしましたが失敗しました。その後、鄧小平が改革開放を起こし、国の経済は立て直しましたが格差が生まれました。ただ共産党は崩したくはなかった。天安門事件発展の際は、軍事力で制圧をしました。その後、情報が調べられないように過去の悪い記憶は抹消しました。
習近平が国家主席となって、毛沢東の意思を注ぐようになりました。それでも平等という社会ではなく、一党独裁政治には変わりませんでした。そして、アメリカは習近平が掲げる「中国産業2025」「一帯一路」によってハイテク覇権を奪われると恐れました。そこで、関税による貿易赤字撤廃、安全保障の面に置いてFive Eyesと協力しながらファーウェイNo.2を逮捕しました。また、CFIUSによるアメリカ企業の買収を禁止しました。さらに、ファーウェイの製品は販売するなとFive Eyesと日本に言ってきました。
5Gを制したものが次の世代のNo.1になる。GAFAとBATHの対決となり、BATHの裏には中国政府の存在があります。中国政府はこの技術をヨーロッパまで繋げ、現代版シルクロード”一帯一路”を構想しようと考えています。
ただ、新型コロナウイルスによって世界は今大きく変わってきています。その中で、5月に開催される全人代(中国の国会)で何が語られるのか。注目ですね
それでは。
参考文献