ブラブロ

はい、ブラザーです。

楽譜解説 坂本九「心の瞳」

しばらくブログをお休みしていました。

ごめんなさい。

 

お休みにしていた経緯については近々お話致します。

 

さて、今日はアレンジのお話をします。

窓の満月で演奏をしている「心の瞳」について書きます。

 

 

原曲は坂本九さんの曲

「心の瞳」は合唱曲として有名ですが、実は坂本九さんが発売をした「懐かしきlove song」というシングルCDのB面曲でした。1985年、日本航空123便の事故によって坂本さんはこの世を去り、心の瞳は坂本さんにとって最期の曲となりました。

 

こちらが原曲です。

 

曲のキーを考える 

バンド方針で「リードを回せる曲にしたい!」となりました。原曲は男性にとって歌いやすいものの、女性には低いですし、かといってオクターブ上でも歌えなくはないですが、聞いてる方が少し辛いです。そのため、サビの高音部分でも男性が十分に張れる音域として考慮しKey=Db(転調前)としました。

 

イントロに繊細さを持たせる

原曲の場合、イントロは静かにピアノが単音で流れ、音が重なる(和音)で広がりをつけて曲に入っていきます。今回のイントロイメージは、繊細な感じから壮大な広がりをつけたいと考えました。

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 コード進行はDb→Ebm7→Db→Ebm7の繰り返しになっています。まずは実際に聞いてみましょう。

 

ここで、2小節目のDbをDbadd9のテンションにすることで、繊細さをより際立たせることができます。テンションコードは、曲の終わりなどにもよく使用されます。

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実際のイントロがこちらです。2回目(4小節目)をテンションにしない理由は、緊張感が続いたままだと、曲に導入しづらいことからDbのメジャーにして落ち着かせました。

では聞いてみましょう。

 

歌詞から考えるコーラスラインとベースライン

歌詞から読み取れる情報はたくさんあります。そしてその雰囲気づくりがすごく重要です。「遠回りをしてた人生だけど・・・」の部分を考えてみます。

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2ndボーカルがメインリードを担当しています。まずは実際に聞いてみましょう。


「遠回りをしてた人生だけど君だけがいまでは」という歌詞から読み取れるのは、「遠回り」と「長い人生」ということです。単純で簡単な人生ではなく、いろんな予想外の回り道などもあって君と出会えて、そしていまでは君が支えとなっているというメッセージをここから読み取りました。

 

そこで、「ユニゾン」と「転回」という2つの方法でアプローチしました。

①ユニゾン

ニゾンとは同じ音(旋律)で歌うことを言います。「遠回りを」の「を」をユニゾンにし、そこから徐々に音を解放させていくことで、より遠回りの感じがでます。

②転回を使用したベースライン

クリシェラインに似た方法ですが、オンベースにすることでベースが滑らかに移動します。コーラスラインが徐々に解放的に向かっていくのに対して、ベースに滑らかさを与えることで、その流れをサポートしてくれます。

 

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Bbm→Aaug→Db/Ab→Eb/G→Gbのベースラインですが、先ほどのベースラインに着目すると「Bb→A→Ab→G→Gb」と移動していますよね。では実際に聞いてみましょう。

 

徐々に音が広がっている感じがありますよね。 このように歌詞に対してコーラスラインとベースラインを考えていくと、より情景が浮かんでくるようになります。

 

マッシュアップ大作戦

ある程度仕上ってきたときに、曲にインパクトが欲しくなりました。

 

バンドメンバーに相談すると・・・

 

マッシュアップしたら面白いんじゃないですか」

「いやー難しくねーかなー・・・」

 

違う曲を入れ込むことをマッシュアップと言いますが、ポリフォニー(違う旋律で追いかけるように歌うこと)を用いた曲は過去にも作ってきました。

 

そこで思いついたのが

坂本九さんにとって最後の曲なんだから、坂本九さんが歩んできた人生がわかるような、坂本九メドレーみたいな感じがいいんじゃないか!」

 

ということでした。そこで代表曲を間奏部分に入れることにしました。代表曲は「上を向いてあるこう」「見上げてごらん夜空の星を」「明日があるさ」です。

 

マッシュアップの注意点

マッシュアップはただ適当に曲を入れればいいというわけではありません。まずは曲の調を合わせ、旋律的におかしくないか確かめます。そして僕が最も気をつけるのは「歌詞です」

 

例えば、一つの歌詞が「明日は晴れるかな」という歌詞に対して、もう一方が「ぼくはくま〜」という歌詞だったとしましょう。同時に歌ったり繋げた時に、お互いなんの脈絡もありません。こうすると聞き手にとっては何が言いたいのかさっぱりわかりません。

 

今回は「見上げてごらん」「上を向いて」「明日がある」「涙がこぼれないように」「ささやかな幸せを祈ってる」という、一人の男性が前向きに歩いていく瞬間のフレーズとしてピックアップをしました。

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実際に演奏すると次のようになります。

 

J-popの定番、三度転調

間奏からは転調してkey=Bbになっています。これはJ-popの定番テクニックである三度転調です。気付かないうちに自然と転調してるテクニックです。ポケモン赤・緑のOPでもこの三度転調は使われています。(しかもダブルです)


0:53〜に一回目の転調、0:57〜に二回目の転調をして1:08から元に戻ってます。

 

オリジナルのアウトロ

原曲では、「心の瞳で、君をみつめれば」という歌詞で最後は終わっています。ただ、この続きに何かメッセージがあったんじゃないかと思い、オリジナルの歌詞をつけてみることにしました。

 

「ぼくが君を守るから。どんな時も君を愛してる。ずっとずっとぼくがそばにいて、君をみつめれば、心の瞳で」

 

これがオリジナルの歌詞です。いつの時代も、ずっと互いにそばにいて心の瞳でお互いを見つめあっていこうという意味を込めています。

 

それでは最後に窓の満月の演奏動画をごらんください。



 

 この曲をMVにしたときの記事はこちら