オリジナリティーを考えるーあいみょんのマリーゴールドを考察ー
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夏もすっかり終わりそうですね。ブラザーでございます。先日、このような記事が流れていました。(一緒にアカペラバンドを組んでいるメンバーの記載したものです)
非常に嬉しい記事です。アレンジャーとして、やっぱりこのような記事を書いてくれることも嬉しいですし、内容についてもここまでやってくれることでアレンジャーも色々方向性を考えられるのかなーと感じました。やっぱり一人で作ってると正直色々と不安ですしね・・・。
そんな冒頭でスタートした今日の記事は、「アカペラバンドにおけるオリジナリティー」について書きたいと思います。
オリジナリティーの意識
まぁ、そもそも”アカペラバンド”に限定する必要もないんですが、やっぱり普段活動をしていると”オリジナリティー”ってすごい難しい部分なんですよね。アカペラバンドってまだまだほとんどが、原曲をカバーするバンドが多いと思うんですよね。僕が所属しているバンドもそうです。厳密に言えば、カバーの時点でオリジナリティーがある曲とは言えないんですが、「曲に対して」ではなく「バンドとして」のオリジナリティーが出せればいいのかなーって2年前くらいに感じました。
アレンジをするということ。
バンドで演奏したい音楽(原曲)を、アカペラ譜面として作成する。アレンジャーが普段行っているのは、ざっくりと言えばこういうことです。アレンジを始める前は、原曲を必ず聞きます。これまで原曲を聞いてすぐにコードを調べて楽譜制作に取り組んでいました。
「え・・・でもアレンジってそうじゃないの?」
はい。僕もそう思います。何が言いたいかというと、原曲を聞いてアカペラ譜面にカバーして起こすとして、そこの間に自身のバンドに結び付けられるものがあるのか・・・ということです。そう、ここが”オリジナリティーをどう出すか”を考えるキーポイント的なところかなと思います。じゃぁ、何をすればいいのという話になってきますが、そのために僕が何をやっているのかというのを紹介すると「原曲の背景を知り、そこから自身のバンドとして何を訴えかけたいかを考える」ということを行っています。
曲の背景を考え、何を伝えたいのかを考える
マリーゴールドから見える世界
あくまで一例として紹介します。
例えば・・・あいみょんのマリーゴールドを例に挙げてみましょう!
あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
爽やかさの中にも、どことない懐かしさを感じる曲ですよねー。あいみょん自身、この曲を完成させるのに、2年間かかったそうです。
この曲をアカペラ譜面にするときに、歌詞やコードを調べますが、僕がアレンジをするときにまず考えたことは下記のことです。
- タイトルが、なぜ「マリーゴールド」なのか
- 曲が訴えかけていることは何か
- PVはなぜ部屋の中と、雨の降る外で撮影をしたのか
なぜ、マリーゴールドなのか
タイトルに僕はよく注目をするんですが、なぜ作詞者がそのタイトルを選んだのかってすごく大事だと思うんですよね。そこから色々ヒントってもらえる気がします。実際にあいみょんは下記のようにインタビューで答えています
花言葉が色によって全然違くて、この曲も聴く人によっていろんな捉え方があるっていうのと重なるんですよね。いろんな花言葉があるように、“マリーゴールド”もいろんな捉え方がある曲であってほしいなって思います
色によって花言葉が違うマリーゴールド。それを自身の音楽と照らし合わせた考え方をしている点は、アレンジにおいても重要な点ですよね。サビの「麦わらの帽子の君が、揺れたマリーゴールドに似てる」っていう歌詞から、どのような情景が思い浮かぶかは、おそらく聴く人によっても変わってきます。現在進行形なのか、それとも過去のことなのかなど・・・ただ、ここが間違いなく重要なフレーズになるので、ここは聞かせたい部分ですよね。
何を訴えかけている曲なのか
この曲を聞いてどう感じるかはそれぞれとあいみょんが言っているように、伝えたい内容や訴えかけていることに対し、答えというのはないと思います。それをどう考えるかは、最初から文章にまとめるのは難しいので、僕の場合はメモ用紙とかに一気に書き込みます。
「新しさ」「夏の空」「恋愛」「自身の殻を破る」「ずっと愛して欲しい」「自分自身の弱さ」「離さない」「心の中にある想い」
様々なフレーズがきっと出てくると思います。歌詞にある内容でも、自分の頭の中に一瞬でも出てきた言葉でもいいと思います。ここで出てきた内容こそ、オリジナリティーの材料になります!
PVから曲の考察を考える
映像制作も普段から趣味で行っていますが、映像を作るときはコマを考え、曲に照らし合わせた情景を考える必要があります。つまり、何かしらPVには曲が訴えかけたい内容が含まれていると考えていいと思いますし、何かの映画のテーマソングであれば「なぜこの曲はこの映画で使われたのか」を考えると非常に面白いと思います。
僕が注目した点は、曲の始まりと終わりです。実際にPVを見ると、最初は部屋の中にいるあいみょんが、すっごく自由気ままにギター弾いたり、みかんを食べたりしている姿が流れます。めっちゃ可愛いんですけどー。
さて、曲の一番最後を見ると「あれ?あいみょんがいない」って思いました。ここで考えたのは「この部屋は自身の心の中を表したものであり、最初は心の中で自由にしている自分=本心。最後は心の殻を破って外の新しい世界へ飛び出した」ということでした。
▲最初は部屋の中にいる。PVの最後は部屋にいない
雨の中での撮影も、心情を表していると思います。このPVの中で一瞬晴れるんですが、すっごく気持ち良さそうなんですよねー。多分、心の中から飛び出すとこんなに気持ちがいいんだよーっていうことを表していると思いました。
このような情景や、歌詞との結びつきを踏まえた上で、改めて原曲を聞いて楽譜を書いています。そうすると、どこで盛り上げるべきなのかや、逆にどこを静かにさせるべきかなどが自然と思い浮かび、原曲にはないフレーズなどが考えられるんですよねー。
改めてぜひ原曲を聞いてみてください。
自身のバンドに落とし込むこと
上記のことを踏まえて、この曲で伝えたいことを自分のバンドにどう落とし込むかを考えるのも、またオリジナリティーの一つだと考えています。でも、上記のことって多分アレンジャーじゃなくてもできること何ですよね。だって楽譜についてまだ触れている訳ではないので。これをメンバーどうしで話合うことや、意見交換をすることもバンド内のコミュニケーションにもなりますし、また人数が少ない練習の時でも出来ることだと思うんですよね。実際やると面白いですよ。
僕の場合は、これに自身が原曲を聞いて感じたことをイントロとアウトロに落とし込んでメッセージ性を表現しています。窓の満月の「心の瞳」を作った時も、そのような作り方でアレンジを行いました。
オリジナルソングを作ること
上記ではカバーについて話をしてきましたが、ではオリジナルソングはどうでしょうか。もちろん原曲なんてものは存在しませんし、全て自身の頭の中から生まれた音楽で表現をしなければなりません。過去に自身が経験したことや感じたことを音楽で表現し、形にすることは非常に難しいことです。ただ、カバーと大きく違うのかというと僕はそうでもないと考えます。結局は全て自分のバンドで歌うことへのオリジナリティーに繋がってくると考えています。だからこそ、カバーだけでなくオリジナルソングに挑戦することも大切なことではないかと思います。
アカペラバンドだけでなく、すべてのアーティストにはカラーがあると考えます。そのカラーに対して、どのようなアプローチを行って表現をするかを考えることは大切なことです。「なぜその曲を選んだのか」「なぜオリジナルを作りたかったのか」「この曲をバンドでどうお客様に届けたいのか」。このようなことを考えながら、バンドで素敵な音楽を作って行くことは非常に楽しいことだと思います。ぜひ、自分のバンドで演奏しているカバー曲、そして自分たちのバンドで製作したオリジナルソングを改めて聞いてみて、色々感じたことはメモをしたりしながら、素敵な音楽を作っていってみてください。
宣伝にはなりますが、下記のイベントにて窓の満月のオリジナルソングも披露しますので、チケットを獲得した方は是非楽しんでいただければと思います。